(12) いつの間にか肩は回復していた。

3月20日は、先月28日に下見していた頴娃の釜蓋神社近くの、青年がせっせと木っ端を釣り上げていた場所にした。ここで例の仕掛けが通用するか、あわよくば、大物ゲットなるか試してみることにした。

 

釣り始めはちょうど満潮だったし、薄暗い時間帯だったので状況が分からないまま、沖狙いで遠投したが、迎い風の上、流れが速く釣りにならなかった。仕方なく、足元の入り江になっているところに仕掛けを入れた。すぐフグがヒット。それから次々と根がかりで針を2回、更に瀬がかりで仕掛けを1セット失った。潮が引いてよく見るとタナをひとヒロ取れないほど浅く、海の中は大きな岩が点在し、とても狭いことがわかった。

 

そこで仕掛けをフカセに変更しウキ下を1m程度にしたら、手のひらがヒット。次に木っ端、その次は手のひらと面白くなってきた。ほんの足元だから杓で撒餌を打つことに抵抗はなかったが、気付けばいつの間にか肩は回復していたのだ。

 

それにしても、付けエサがもたない。というかもろい。ハリに餌を付けるのに苦労する。半ボイルは、固い分付けやすいが、反応が鈍い。

 

 

 

21日は、木材港の奥で昨日の仕掛けのまま、フカセにした。杓で撒餌を打つ時の肩の痛みは全くと言っていいほどなくなった。何投目かにベラがヒット。タナをひとヒロ程度に浅くし撒餌が広範囲に飛び散るように海面に叩き付けるように打ったら、すぐに手のひらがヒット。それから次々と同じサイズが3枚上がった。この日は晴天だったので、撒餌の下でクロが湧いているのがかすかに見える。ここで大物をと、欲が出る。仕掛けをわざわざ例の仕掛けに変えて遠目に投入。が、アタリはあるが、まったくヒットしない。

 

 

 

ここで分かったことがある。フカセのウキは、G2。例の仕掛けのウキは、1号。この日のように撒餌の下でクロが湧いている状態で、クロが餌に食らいつく反応を見極めるうえで、二つのウキで大きな差が出た。

 

フカセのウキG2は、投入後間もなくクロが餌をついばむたびに敏感に反応しすぎて沈み始める。そして浮き上がってくる間もなく、ほとんど沈みっぱなし。ウキが完全に見えなくなるまでの速度がシュッと速ければヒット。遅ければ、掛かることはない。

 

一方、例の仕掛けのウキ1号では、クロが餌をついばむぐらいではほとんど反応しない。ウキが僅かに沈み込むときは、おそらく、クロが餌をくわえた時だろう。しかしウキの浮力抵抗があるので、すぐに餌を放してしまい、ウキが海面にピョンコンと戻る。そして連続して餌に食らいつこうとはせず警戒してしまうのだろう、ウキの反応は鈍い。つまり、より浮力抵抗を感じやすい1号のウキでは、クロが餌に食らいつく確率が低くなるのである。実際、釣果が示すとおりだった。

 

 

 

その後は、ボラが大量に出現し、久しぶりに捕食活性していたクロの群れは、パタッと姿が見えなくなり釣れなくなった。まだ、一年を通して経験したわけではないが、季節により邪魔者も変わる。それにより、釣れる時間帯も変わる。ボラがいなかった時期は、真昼間でも入食いしたのに、今は、朝の早い時間帯にしかこなくなった感じがする。