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(4)行く先々で、何だあの仕掛けはという顔をされた

一時的に惹かれた爆弾釣りから、元のバネカゴ仕掛けに戻った私は、江口浜、瀬々串港、木材港と釣行を重ね、そのいずれでも徐々に大物が釣れるようになっていった。他のベテランのおじさん達が、小物しか釣れない状況でも、私だけが足裏サイズを数釣りするものだから、目立った。

 

当然、このバネカゴ仕掛けがどうなっているのか気になるようで、終始周りの目線を感じた。中には、遠巻きに眺める人もおれば、ずけずけ聞いてくる人もいた。そういう人には、隠すことなく丁寧につい自慢たらたら教えることになった。しかし、スカリに入れた大物クロは、持ち帰っても生きている。これを絞めなければならない。本当にかわいそうになるほど嫌な瞬間である。これを、毎回5,6匹絞めるわけだから、おのずと自然に対する畏敬の念を感じたし、こんなに釣れる仕掛けを、他人に教えてみんながマネしたら、クチブトクロは、絶滅しかねないと思うほどだった。本気でそう思ったほど、バネカゴの威力は明確に結果を出した。これほど釣れると、釣りを極めた感が出てきて面白味が薄れ飽きがきたし、また、クロをどう料理してもこう立て続けでは、いい加減その味にも飽きてしまい、次の休みには釣りに出かけなかったほどだった。

 

 

 

この仕掛けの最大の特徴は、撒餌同調がもたらすところの、投入のたびにクロのアタリを見極めるチャンスが来ることだと思う。はじめの内は、ウキが海中に沈み込んで浮き上がってこない時間が1,2秒を超えたら合わせを入れていたが、合うことはまずなかった。遠くの円錐ウキを見てこの判断をするのは至難の業である。何故ならクロは、餌をくわえても違和感を感じたとたん吐き出してしまう。だから、ウキが海中に沈み込んで浮き上がってこない時間が1,2秒を超えた場合に合わせを入れても、既に吐き出していることが多いのである。最初のアタリで大きく合わせを入れてしまうと、せっかく同調している撒き餌の流れから、付けエサが大きく外れてしまい、その回は仕掛けを上げざるを得なくなる。その場合大抵、付けエサは形を半分以上残していることが多かった。だから、ウキが海中に沈み込んで浮き上がってこない時間が1,2秒を超えても、またその回数が何回あっても、絶対に合わせを入れずに待つのである。とにかく待つのである。何を待つかといえば、手前に見えている道糸が引き込まれるのを、いやもっと言えば、竿先が引っ張られるのを待つのである。つまり、結論は、合わせを入れる必要はないのである。例外もあるかもしれないが、実際、ウキの沈み方から判断すると、クロは深いところから餌めがけてかなりのスピードでひったくる様に捕食するようだ。だから、針が口に掛かるかどうかは、たまたまエサをクロがどの方向から口に含んだかによるクロ任せの確率の問題なのだ。ちなみに、私の針はかわせみ針(チヌの金)0.8号100本入を使っている。